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執筆者の写真room42act

「渦中の花」インタビュー第7回(全9回)room42×植田真介(文学座)

記者の辻本です。

「渦中の花」関連インタビュー第7回は、文学座の植田真介さんを迎えてお話をうかがいます。

植田さんは、room42結成のきっかけとなった2011年の文学座サマーワークショップで助手を務めていた方です。

メンバー5人の反応からも慕われぶりが窺える、和やかな雰囲気のインタビューとなりました。



——この5人は植田さんと会うのは何年ぶりくらいなんですか?

植田真介(以下、植田):7年ぶりって人は一人もいないですね。だって(野村に)去年飲んだでしょ?

野村亮太(以下、野村):そうですね。

丸山雄也(以下、丸山):僕は卒公(文学座附属演劇研究所の卒業公演)を見に行ったときに。

植田:あ、じゃあ一番最近だ。今年の1月。

——お芝居に出ているのを見たことはありますか?

野村:ここ2人(野村と辻井)は去年、見ていただいてます。

柏尾志保(以下、柏尾):私も一度、見に来ていただきました。

植田:かなり前だよね?

柏尾:いつだったっけ…

植田:すっごい前だったと思うよ。ワークショップ終わってから1年とか2年くらい。

丸山:こっちの2人(丸山と松本)は研究所以来ですかね。

植田:卒業公演だね。そうか、じゃあ卒業してからは一回も見てないんだ。平泳ぎ本店の旗揚げには行ったけど、その時は一歩くん出てなかった。

松本一歩(以下、松本):ドラマトゥルクでしたから。

野村:旗揚げって言うから、てっきり出るんだと思ったのに…

辻井彰太(以下、辻井):受付にいたからね。

植田:でも、それぞれの活動は全部ブログなりTwitterなりで追って、チェックはしてますよ。


文学座附属演劇研究所・主事の植田真介氏。


●サマーワークショップの思い出


——ワークショップの助手というのは、具体的にはどんな役割だったんですか?

植田:講師は講師で別にいるんですよ。そのときは文学座の演出家の松本祐子さんと、俳優の若松泰弘さんが講師をして、そこに必ず助手が2人つくんですよ。ワークショップの準備をしたり、講師と受講生の間に入るお兄さんお姉さん役みたいなところですかね。僕も当時ちょうど、研究所のことに関わり始めたくらいの時期だったんです。

——そのサマーワークショップ自体は今でも続いているんですか?

植田:毎年やってます。僕も去年そこで講師をやって、今後も何かあったら連絡してねとは言うんですが、なかなか…僕自身も忙しかったりして、あまり付き合ってあげられなくて。

柏尾:でもやっぱり、私たちがこんなに仲良くなれたのって真介さんがいたからだと思う。真介さんの人柄だと思います。

辻井:真介さんは記憶力がすごいんですよ。会った人ほとんど全員覚えてるんじゃないかってくらい。1週間しか一緒にいなくて久しぶりに会ったら「誰だったっけ?」となりそうなんですけど、絶対覚えてるんですよね。しかも全部繋げて話せるんですよ、「あの人は今こうしてる」みたいなのを会うたびに教えてくれて。関係性を繋げていく大事さだとか、継続することの意義を身をもって教えてくれた人でもあります。

植田:良く言えばそうかもしれないけど、そんなカッコいいものじゃないよ。たぶん趣味なんだよ、CIAみたいなことするのが。

野村:そう言われると急に怖くなりますね。

植田:「あいつは経歴を隠してるけど実はこんな事してるぞ」みたいなのを調べるのが好きなんだよ。

辻井:なんで僕らの上げた株を自ら下げに行くんですか!(笑)

松本:でも本当に面倒見がいい人なんですよ。サマーワークショップのときは本当に楽しくて、最終日も新宿で植田さんを夜中まで引っ張り回して飲んでたんです。朝方に家へ帰ったんですけど、寂しくて泣いたのを覚えてます。(一同ざわめく)僕、大学にあまり友達がいなくて…こんなに演劇って楽しいものなのかと思いましたね。

植田:打ち上げの時、ずっと俺に後ろから抱きついてたよね。

松本:そんなこともありましたね…

野村:あった気がする。

辻井:僕は夏休みを利用して関西から参加したんですけど、他にもそういう人がいて。関西組は関西組で、終わってからも向こう(関西)で会ったりしてました。

野村:夜行バスで帰ったんですけど、何人か見送りに来てくれたりして…俺もやっぱり枕を濡らしたよね。

丸山:嘘ついたでしょ(笑)。

野村:うん、どちらかというと俺は「楽しかった、また集まりたいな」って感じだった。

植田:でも、僕もワークショップには何度か関わってるんですけど、このメンバーの集まった2011年は少し特殊な年だったというか、すごくチームワークが良かった年でした。みんなで飲みに行ったり話したり、いつもそれなりに仲良くはなるんだけど、じゃあ他の年の受講生でこういった企画を立ち上げるまで至った人がいるかというとね。もっと他にも出てくればいいのにとは思いますけど。



——インタビュー前に小一時間ほど稽古の様子を見ていただきましたが、いかがでしたか。

植田:みんな落ち着いたなって印象ですね。人の意見から何かを汲み上げていくことが多くなった。それはやっぱり、経験を積んできた結果だろうと思うんですよ。ワークショップに参加していた時は、これからの夢にキラキラしている感じでしたけど。

野村:まるで今はキラキラしてないみたいな…

植田:いやいや(笑)。でもみんな何年か経つとそうなるじゃん、キラキラとは違うフェーズに入っていくみたいな。7年前は俺が今の亮太くらいの歳だったし、その頃からすると俺もずいぶん変わっちゃってるから。当時はワークショップの助手だったけど、今は研究所の主事になっちゃったしさ。

——それぞれの当時の印象など、覚えている範囲でお話しいただけますか。

植田:(丸山)雄也くんと(辻井)彰太くんは若かったですね。ワークショップの中でも最年少だったし、とにかく若かった。彰太くんは高校生で…

辻井:17歳でした。

丸山:僕は1つ違いなので、大学1年生です。

植田:彰太くんはあの中で一番若かったけど、当時から「自分はこうなりたいんだ!」という意志がハッキリしていた。その熱さ自体は7年経っても変わらずあるようで、出力の仕方が変わったように思います。知ってる人と共演することも多いから、わりと見てきてるんですけど、いろんな表現をする中で自分が根っこに抱えている部分を見つけたんでしょうね。あの頃はまっすぐ過ぎて、このままだと途中で疲れちゃうんじゃないかと心配だったから、それはいい変化だなと思います。


●松本一歩の変化


野村:印象では(柏尾)志保が一番変わらない気はしますけどね。

植田:志保ちゃんは…でも久々すぎて今がどういう感じか分からないからね。変わってないようにも見えるけど、ちょっと大きくなった気はする。

柏尾:食べ過ぎたんです…

植田:違うよ、大人になったって意味だよ。雰囲気が色っぽくなったなと思う。けど亮太も変わらないよ、俺からすると。一歩くんと亮太くんは当時から人懐っこい印象があった。

野村:一歩は昔は人懐っこかったけど、なんか今はツンツンしてる感じありませんか?

植田:ツンツンしてるというか、考え方がすごく大人になったよね。僕が研究所での3年間を見ているからなんだけど(註:松本一歩は文学座の研究所に3年間所属していた)、一番変わったのは一歩くんだと思う。

——それはどういった変化ですか?

植田:やっぱり、集団の中に入ると自分ができること・できないことが見えてくるし、そこで自分が演劇とどう関わっていくかを考えることになるでしょう。評価のことばかり気にする子も多いけど、一歩くんは講師や劇団からの評価よりもまず「自分が何をしたいか」ってとこに力点を置いていた気がするので、それが卒業後の活動にも繋がっている気がします。

松本:当時、広報のことであったりとか、発表会のやり方についても変革をしていきたいという声が研究生の中にあって、その話を繋いでくれていたのが真介さんだったんです。だから、なにかと話は聞いてもらってました。

植田:あの時期はいちばん大変な時代だったと思うよ、研究所的にも。

——研究所時代を過ごしているという意味では、たしか丸山さんもそうですよね。

丸山:でも俺は1年間しかいなかったので…(註:文学座研究所は本科1年と研修科2年に分かれている)。中学や高校の部活と違って、個性の強い人が集まる場所じゃないですか。そういう意味では、仲がいい悪いというより、自分がどうやってそこに居ればいいのかわからないという…

植田:わからないのはまずいでしょ。

丸山:そうなんですよ、まずくて。周りとの関係性に不自由していた1年間だったんですけど、演劇は人が集まってやるものだから、そのための対人関係について考えさせられましたね。個性の強い人たちの中で、自分の居場所をどう作るかみたいな。

野村:結果、その1年で立ち位置は見つかったの?

丸山:いや、研究所の中では結局ぜんぜんうまくいかないまま「あー疲れた」ってなってたんですけど…そこでキラキラを失ったのかもしれない(笑)。

植田:ワークショップは1週間しかなくて、べつに評価も関係ないからさ、みんな好き勝手にやるじゃない。でもワークショップと研究所では期間が違うし、やることも全然違うからね。

——room42結成のいきさつ(一緒に芝居をする約束)について、植田さんはご存知でしたか?

植田:なんとなく知ってはいました。だから、ついにやるのかと思って。俳優として場数を踏んでいくと、どうやって続けていこうかとか、「夢と演劇」から「人生と演劇」で考える段階に入るじゃないですか。その中で次のモチベーションというか、次のステップに挑戦しなきゃいけない時期って必ず来ると思うんです。その企画を、7年前に「いざ始めるぞ」ってスタートラインを共にしたメンバーと立ち上げるのは、とてもいい機会だと思うので、ぜひとも頑張っていただきたいなと思います。



第8回は、今作脚本/演出の烏丸棗(牡丹茶房)と花まる学習会王子小劇場、芸術監督の池亀三太(ぬいぐるみハンター)さんとの対談です。

お互いの作風、王子職員としての話などを語っていただきました。

公開は、4/22(日)を予定。

お楽しみに!

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