play room第二期参加者インタビュー[前編]
※こちらのインタビューは第三期募集時に作成したものになります。
インタビュアー:國松卓
スピーカー:小川結子さん、河原翔太さん、青柳糸さん(以下敬称略)
―――第一期参加者の國松です、本日はよろしくお願いします。
早速お話しさせていただきたいんですが、僕最初アシスタントに入る予定だったんですけど、結局コロナで入れなくて。第二期はどんな感じで進んで行ったか聞かせていただいてもいいですか?
青柳:最初がやはりコロナがどうなるのかなっていうのがまだわからない状態だったので、「応募はしたもののいつ始まるのかなー」っていうのが。
そうこうしているうちに緊急事態宣言に入ってしまったので、一番最初はZoomで戯曲読解からスタートしました。当初は人数も多く、AチームBチームと分かれてスタートしたんですけど。それが1ヶ月ぐらい続いたのかな。その間にまた班の編成があったり、ちょっとずつ人数が減ったりしているのも感じていて。
「実際に参加できるのかな」という不安がありつつ、「勉強がしたい」っていう気持ちは高いままだったので、何とかかじりついてた。不安だけど、なんとか吸収しなきゃみたいな感じでいっぱいいっぱいでした、私は。ちょっと余裕がなかったなって。
―――他のお二方はどうですか?
小川:なかなかいつ始まるかわからなかったので、先に一期のレポートとかを見せてもらって。こういうことやるんだって最初に結構わかったのはすごく良かったです。
オンラインの戯曲読解ではトム・ストッパードの『ロックンロール』を読んだんですけど、その時期はまだ、知らない人と会わずにオンラインの画面上でやり取りする経験も少なかったし、読解を進めてても「なんか変なこと言ってしまった」とか「なんかこれわかんなかった」とか思ってて。皆
でも、「『ロックンロール』がすごく難し楽しい」みたいな時間を過ごしました。
気持ちとしては、人数が減っていって誰がいるかわからないし、自分もいつまでいられるか分かんない。自分のスケジュールもきっとこれから変わるだろうからみたいな感じでした。
―――河原さんはその点どんな感じでした?
河原:やっぱりちょうど始めるか、という時が一番緊急事態宣言とかでわちゃわちゃしてた時期だったんで、実施に際してのヒアリングとかもあったんですよ。この状況でやるのが不安かどうかもありましたし、開催基準を設けてくれて、それについて意見を募るみたいな話もありました。
実際僕も、「この状況でやって大丈夫なのか」と思っていました。「絶対参加したい」という気持ちもあった一方で「今実施しますってなってもどうかな」と思ってた時だったんで。なので、まずオンラインで戯曲読解をしようっていうのは最初としてはいい形で参加できたかな。「やってみたい」という気持ちと「大丈夫かな」という気持ちのバランスをうまくとって、慎重に考えていたのが当初の記憶ですね。
―――なんでplayroomに参加しようと思ったかを聞かせてください。
青柳:一期で参加されてたTさんが、当時WS後に、公式のレポートをリツイートされていたんです。その後「私は今日こうだった」「次はもっとこうしたいな、悔しいなー」みたいなご自身の反省をこまめにつぶやかれているのを見てて「何をしてるんだろうな」って気になったのが最初で。
ちょうど私がその時本番を迎えてて、いろいろ課題も見つかって、ちゃんと勉強しなきゃなーと思っていた時にこういうのがあるんだっていうのを頭の片隅においてたんですよ。その後数ヶ月したら第二期募集の情報を見たので、これは行ってみたいなって思ったのがきっかけですね。
―――他のお二方はどんな感じですかね。
河原:僕は第二期の募集の年にちょうど上京して。
その時に一本だけ舞台が決まってたんですけど、その後の予定とか所属とか何も決まってなかったので。まずはいろんなワークショップに参加しようと思って調べて、その中で見つけました。
単発ワークショップじゃなく長期的にやっていくっていうのがトレーニングとして魅力的だなって思って気になっていて。青柳さんとちょっと似てるんですけど、一期に参加されたOさんが感想ツイートしてるなーと思って、興味をもって応募したっていう感じですね。
―――小川さんはどうですか?
小川:私も養成所とかそういうとこ入ってたわけじゃなくて。長期ワークショップとか、教えてもらう場みたいなのに憧れとかやってみたいなみたいな気持ちがあって。こういうのがあるんだって多分ツイッターで見たのが一番のきっかけだったと思います。
あとは「相手とその場で関わる」みたいな練習が自分は必要だなって思ってて、その時期マイズナーテクニックについて知って、自分に合うんじゃないかなと思って応募しました。
―――率直に言って、参加してどうでした?世莉さんのワークって皆さん受けたことありましたか。
河原 青柳:なかったですね。
―――世莉さんのワークで具体的にどこが良かったかとか、どう思ったかみたいな、受けてみてありますか?
青柳:率直な感想でいいですか?
―――あ、全然率直なもの、ラフなもので大丈夫なので。
青柳:マイズナーのこと本当によく知らずに勉強がしたいっていうのだけで入っていたので、最初はリピテーション(※)とかすごい怖いなって思ってました。
(※ リピテーション=リピ。マイズナーテクニックにおける基礎的なワーク。その名の通り、リピート(繰り返し)をする練習。相手と言葉を繰り返し、頭で考えることを排除することで、準備したものではなくその瞬間に生まれたものを大切にするトレーニング。)
―――あーそうですよね。
青柳:「外から見たらなんかヤバイ集団みたいだなー」と笑
だから飛び込んでいくまで戸惑いはあったんですけど、でもワークを進めるにつれ「自分の体がこういう風に変わったな」って言うのがすごく敏感になったのがわかったので、確かにこれは、自覚するしないで大きな違いがあるかもしれない、と思うようになりました。
―――リピテーションが苦手意識があって、それを克服する瞬間が明確にある人が一期もいたりしたんですけど、そういうのはありました?
青柳:私はそんな苦手かというと、そうでもなかったかもしれないです。その、始まるときに戸惑いがあっただけで、やってしまえばって感じです。
―――やってしまえばそんなにって感じですか、ありがとうございます。他の方はどうですか?
河原:確かに苦手意識って感じではなかったですが、やってみてうまくいかない部分はありました。
でも世莉さんのフィードバックを聞いて、「そっかそういう方向でやったらいいのか」とか「これは確かにできなかった」みたいな気づきがその都度あったので、ちょっとづつクリアしていく感覚はありましたし、「今の回は自分の中で大きかった課題がクリアできたかも」という瞬間とかあったりしたんです。
全体的にリピやだなとかはあんまり思ってなかったですね。
―――小川さんはどうですか?
小川:別のところでマイズナーをやったことがあったので、やり方が違うみたいな戸惑いとかは最初ありました。
私は、ワーク中に「声出して」って言われるのがすごく苦手で、体が全部動いちゃうんです。そこで世莉さんに「体に力が入っててここが動いてるっていうのを全部声に出す」と言ってもらった時に、「そうか、こういう風に声出していいんだ」って思いました。
やっぱりフィードバックがすごく丁寧なので、他の人のフィードバックも聞いて、「次はこういう課題を持てばいいんだ」とか「この人と比較したら自分はここはまだできてないかも」とか色々考えられたんで、そうやって徐々に課題を見つけていける場があったのが大きかったかなと思いました。
河原:そうだ、今のを聞いて思い出したんですけど、「声出して」っていうのは僕も最初よくわかんなくて。「何言ってるんだろう」って思ってました。
―――「声出して」と言われるのはどういうタイミングなんですかね。
河原:あ、だからその何て言うんですか、自分の中に何かありそうだけどうまく言葉にできない時とか、逆に本当に今その瞬間何もエネルギーがなさそうだみたいなことがずっと続いている時に。
リピの最中というかその前のエクササイズだったかもしれないですけど。
―――リラクゼーションとかですかね。
河原:「自分の中にエネルギーを感じたら声出して」ってことを世莉さんがよく言ってて、結構周りの人もたくさん声を出している。でも僕は自分にエネルギーがあるというのが全然わからなかったから、ずっと声出してなかったんです。「声出すとは•••?」みたいな事を思ったりしつつ。
フィードバックで世莉さんから「とりあえず出してみたら?」と言われて、「じゃあ出してみよう」って出したら、すぐにはわからないこともありましたけど、しっくりくる瞬間もあったりして。「なるほど、とりあえず出してみればいいのか」って思ったことはありました。
、
頭だけでは分からなかった感覚ですね。
―――小川さんと河原さんは世莉さんのワークついては知ってた感じですか?初めてでしたか?
小川 河原:初めて。
―――世莉さんのワークを受けてみてどう感じたかみたいなのってありますか?
小川:どうだろう笑
河原:世莉さん変わった人だなあっていう笑
―――まあ世莉さんああいう人なんですけど笑
河原:どういう距離感の人なんだろうって、すごい最初不思議でしたね。フィードバックの時とかに喋ってる時とかも。
青柳:私は軽やかな大人だなーって思ってました。ちょっと感動というか、なんか変な人だとは思ってましたけど笑
―――はい笑
青柳:悩んでいる俳優の言葉は、時にネガティブすぎたりすることもあると思うんですけど、それに対して「いいんじゃね、気づけたなら」って言ってくれたり、色んなことに対してフラットで軽やかな方なんだな、とわかった時にすごく信頼できる人だと思いました。
小川:一期のレポートを読んでて多分文字にしてるからなんだと思うんですけど、すごい鋭い印象を受けて、めちゃくちゃ怖い人なんじゃないかと思ってたんです。結構自分で考えさせる人なんだなとか、答えを教えるとかそういうタイプじゃなくて。
―――特にワークショップみたいな場だと、俳優がやったことについてコメントするみたいなスタンスを取る方かなと思います。
小川:そうですね。だから演出家さんなんだなってすごく思いました。
―――世莉さんの俳優主導というか、「俳優がやってこないとこちらもコメントできない」みたいなスタンスについてはどんな感じでした?
青柳:もどかしさはありましたね。じゃあどうすればいいんだ!みたいな。
多分、それを悶々と持ち帰るのが自分の成長に繋がるんだろうなって頭で理解はしていたんですけど。シーンスタディを2回繰り返す時に「用意してきたことはどうやら違うらしい。次どうしよう…。」とずっと悩んではいましたね。
―――その悩みみたいなものは解消される瞬間があったりしましたか?
青柳:手放す。
「準備してきたこと全部なかったことにしても絶対に残るから大丈夫」って言われた時にすごく安心できたんですよ。
とはいえ最初の方は不安なので、「手放すと言ったって、やっぱりこれぐらいは握ってなきゃいけないんじゃないか」みたいな思いがあったんですけど。「もう全部100%捨ててやるって自分で思ってても、今まで準備してきた時間で培ってきたものは、身体中に絶対残ってるから全部忘れて大丈夫だよ。」と言われてからすっごい楽になりました。結構最後の方です。
―――他のお二人はどうですか?ありますかそういうこと。
河原:長期的に見てもらったっていうのがすごいありがたくて。
1人1人の課題や苦手としてることを世莉さんもわかってくれて、それを共有してる状態でいろいろ進めていくことができたので、それがすごく良かったなって思います。
リピにしろシーンにしろ、フィードバックで言ってもらったことが僕的には、なるほどおっしゃる通りでございます、ということばかりだったんで。次はこうしてみよう、とか考えてみよう、みたいな試行錯誤がすごくやりやすかったです。
刺激的というかエキサイティングな時間がずっと続いていた感じでしたね、僕にとっては。
―――小川さんは何かありますか
小川:シーンスタディだと世莉さんが演出をつける訳じゃないから、次はこうしてとか言わないんです。「この段階まで来たから次はキャラクターとして関わるといいね」とかそういう感じだったから、次何をすればいいかを自分で考えなきゃいけなくて。それがたまに苦戦して、先週と同じことを言われてしまった、立ち止まってるな、みたいな瞬間も結構あったんですけど。
でもさっき青柳さんもおっしゃったように、1回全部手放すとか、いつもの相手と違う人と組んで全部忘れてやった瞬間に一番いいものができて。手放すってこういうことなんだなと思いました。
あと、自分の演じるキャラクターの過去で起こった出来事を書き出して、モノローグを作るというワークがあったんですけど、発表する時に、「今、それあるもの全部出した?」と世莉さんに言われて。
私は、読むだけだったしモノローグだったから正直これぐらいかなって演技をしてたと思うんですけど、確かにもうちょっとエネルギーはあったかもしれないみたいなのを見破られて、「あ、これ私の癖なんだ」と気付かされた瞬間がありました。
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