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play room第一期参加者インタビュー③


※こちらのインタビューは第三期募集時に作成したものになります。

インビュアー:加藤唯

スピーカー:中山侑子さん(以下敬称略)

 

ーーーお疲れ様です。本日はよろしくお願いします。

まず、中山さんの普段のご活動を教えてください。


中山:play roomに参加する前は、仕事をやりながら、仕事に支障が出ない範囲でオーディションを受けたり舞台に出たりしていました。

play room に参加してからは、自分で企画を立てるようになりました。以前は、「関わりたいところに出たい」というある意味人任せなところがあったのですが、今は自分で何かを企画して、形にしたいという気持ちが強くなりました。井上ひさしさんの『マンザナ、わが町』という作品を無料配信したり、スタンドFMで「読み合わせの企画」というラジオをやったり、ライブ配信をやったりしています。また、「芝居屋風雷紡」さんと「コマイぬ」さんが合同でやっている、zoomを使った怪談話のオーディオドラマに参加しています。


ーーー早速なんですが、play roomに参加したきっかけは何でしょう?


中山:過去に「時間堂(※)」のワークショップでマイズナーテクニック(※)を勉強していたのですが、現在は「時間堂」がなくなってしまい、マイズナーを学ぶ機会がなくなってしまった、というのがありました。


play roomは金額面の負担が少ないことと、長期的にマイズナーを受けられるという点が良かったので参加しました。 


(※時間堂…1997年、黒澤世莉のユニットとして設立。2009年劇団化。マイズナーテクニックを基礎とし、国内外の古典から書き下ろしまで幅広い演目を「俳優の声と身体と関係性だけでシンプルに立ち上げる」上演スタイルを特長とした。2016年末に解散。)


(※マイズナーテクニック=マイズナー…自分の役柄をどうする、形をどうするということよりも、自分の身体、楽器をどうなっているかを知っていくことをスタートにする。人のことを観察していく、知っていく、そして関わっていく。そこから演技を深めていく、という考え方。まずは自分のこと、自分の身体を掘り下げて、そこから役柄を演じるというところに展開していく。)


ーーーもともとマイズナーをやろうと思ったのはどうしてですか?


中山:私、新劇の劇団の演劇学校に行っていたのですが、そこの講師がマイズナーを扱ったんです。まだ日本でマイズナーが有名になる前です。


その方がマイズナーのやり方で演出をつけてくれて、本番をやった時に、すごく自由になれました。誰かがセリフを忘れて間ができたとしても、役としての間になってたんですよ。そこから「マイズナーいいな」って思いまして。


その後は勉強したくても、当時はマイズナーの本は翻訳さえされていなくて、英語版の本を読んでも理論はよくわからなかったので、誰かについてやろうと思いました。ただ、マイズナーのワークは心を扱う面があるから、しっかりした指導者を選ばなければと思いました。


ーーー英語版の本を読まれていたとのことですが、実際に世莉さんの指導受けてどうでしたか?


中山本で学ぶのと、生でその場で実際にやってみるのはやっぱり違いました。

また、世莉さんの師匠の柚木さんのクラスやその他のマイズナーのクラスも行ってみましたが、講師の方によってやり方も違いました。基本は同じだけど、アプローチの仕方が違います。


play roomの場合、主宰の野村さんが言うように「もしも自分に合わないと思ったらやめてもいい」というスタイルじゃないですか。合わないのに我慢するのは心を壊してしまいますし、主宰と講師との信頼関係がないと言えないことだと思います。あれを最初に言って参加者の心の負担を軽減するのは良かったです。


ーーーリピテーション(※)はどうでしたか?プライベートな面を出していく時もあったと思うのですが、講師の世莉さんや他の受講者とのとの距離感はどうでしたか?


中山:世莉さんは、各個人がやりやすいように、その人なりに見ながら指導してくれました。


ペアでリピをやる時には、結構知ってるはずの人が、全然違う一面があった。

例えば、オープンな性格だと思っていたら、全然そんなことがなかったりっていうのが見える瞬間があって、逆に自分も相手から見たらそういうのが出ているのかなと思ったり。


普段自分が相手につい合わせていたり、社会性を重んじているんだろうな、というのが相手の反応によって客観的にわかるのが面白いなと思ったし、それをお芝居をする上でもやっていかないと、本当に自由にはなれないんだろうなというのは感じました。


(※ リピテーション=リピ…マイズナーテクニックにおける基礎的なワーク。その名の通り、リピート(繰り返し)をする練習。相手と言葉を繰り返し、頭で考えることを排除することで、準備したものではなくその瞬間に生まれたものを大切にするトレーニング。)


ーーーplay roomで知り合った人と仲良くなったり、その後の繋がりなどありますか?


中山:世莉さんは全然変わんないですね笑 

参加者の人たちはあれだけ密に一緒にいたので、そのあとの舞台でどういう風にやるのだろう、と気になるので連絡もらったら観に行ったりはしますね。

みんなのplay roomでの様子と、舞台での本番の姿はやはり全然印象が違ったりするので、それも面白いです。


ーーーplay roomで学んだことで、その後の公演などで自分の中で変わったことはありますか?


中山:性格も影響すると思うんですけど、多分、若い人は変わるのが早いんと思うんです。でも、ある程度年齢がいくと、自分の中で固まっちゃっているものを突き崩すのは難しいし、自分がやりがちな癖に戻って行ったりする。ただマイズナーをやることで、それに早めに気づけるようになったのかなと思います。


ーーーそれは「今自由に動けてないな」とかってことですか?


中山:あーそうそうそうそう。


ーーーシーンスタディで扱った『アルカディア』(トム・ストッパード作)という作品はどうでした?


中山:面白かった!

結構数学の話とか、言葉が難しいんですけど、内容的にも面白いし、同じ役を何人かでやると解釈の幅があったり。あとは、「人間ブチぎれた時が面白いな」っていう発見が私はありました。笑 


あらすじだけ見ると高尚に作らないといけないと思いがちだけど、実際にはこうも色んな形にできるのだな、というのが面白かったです。読めば読むほどわかっていく面白さがありましたね。宝探ししてるみたい。


ーーー「読めば読むほど面白い」って仰る人多いですね。


中山:そうなんですよね。最初は「なんじゃこりゃ」なんですけど、読んでいくと面白くなるし、他の人がやっているのを見たりすると、発見が多い戯曲でしたね。どんな戯曲でもそうですけど。


ーーー「いい俳優」とはどんな俳優だと思いますか?


中山:(即答)自立した俳優だと思います。色んな視点を持っている人。 

例えば「演出家だけに頼る」とか、「誰からどう見えよう」というのではなく、演じる時に一本の筋が通っていて、だけどその筋をわがままに通すのではなく、アドバイスがあれば取り込んでいくけど鵜呑みにはしない。自分で判断して取り組んでいけるのが良い俳優だと思います。


あと、相手にお願いをしないこと。相手に自分の意見を押し付けず、俯瞰して全体を観られる人や、「自分だけが良くなろう」ではなく「作品を良くしよう」とできる俳優はすごいなと思いますね。


結構好きだなと思う俳優さんは、相手の言うことを肯定しつつさらに提案できる人です。年齢に関係なく色々なことを言い合えるのがいいのだろうなと思いますね。


ーーー最後に、三期の受講を検討している人に一言お願いします。


中山:とりあえず、「検討するんだったら飛び込め!」って言いたいです。やっぱり、検討するってことは、何か自分の中で引っかかってるから、ちょっとでも引っ掛かったら怖くないから試してみた方がいいと思います笑


本当に興味ないと思ったら、その情報ってまず自分の所に来ないと思うので、引っかかるってことはきっと何かしら興味があったり、なにか感じるものがあるはずだから、とりあえず試して、入ってみて。続けるか続けないかもplay roomは自由だから。


飛び込んでみないと何も見えないので。 


ーーーありがとうございました。





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